高校
高校の種類
フランスの高校には、「中学校」の項目でも述べた通り、大学入学を目指すための「普通教育課程高校(Lysée général)」、工業の専門的な知識を身につける「工業高校Lysée technologie」、職人的な専門知識を身につける「職業高校Lysée professionnel」があります。普通高校及び工業高校は 3年制、職業高校は2年~4年制です。
入学
フランスの高校には受験制度はありません。中学4年時に、高校へ進学するか、専門学校へ進むか、留年するか等を各家庭で話し合って進路を選択します。学校会議において各生徒の希望を検討し、進路先を決定します。その決定をそれぞれの進路先へ送り、またそこで入学基準に満たしているか等が考察されて最終決定となります。
学年のしくみと授業内容
以下、普通高校の各学年の呼び方とそれぞれの大まかな授業内容です。
- 高校1年:seconde
→フランス語、歴史・地理、第1外国語、数学、科学・化学、物理、体育、一般常識 - 高校2年:première
→バカロレア(大学入学資格試験)準備のため、それぞれの専門分野を「文系(L):フランス語、文学、哲学等」「理系(S):数学、科学、物理等」「経済・社会系(ES):社会、数学、歴史、地理等」の中から一つ選択し、勉強していきます。 - 高校3年:terminale
→première と同じ内容。
学校生活
一般的な進学先であるのが普通高校です(学区制)。水曜日と土曜日(午前のみ)にも授業があります。学校によって異なりますが、授業開始は8時15分頃、終了は17時50分頃です。時間にルーズな印象のあるフランスですが、学校生活の中では、時間厳守に厳しい指導があります。
自転車やトラムで通学する生徒が多いです(バイク通学は禁止の所が多い)。自宅通学できない生徒のために、食事つきの寮を完備している高校もあります(寮費は月100€前後+食事代)。
学校生活では様々な展示会を開催したり、課外研究、研修、海外旅行などの活動が行われます。
フランスの大学入学のしくみ
フランスの教育制度で最も有名なものは、上記でも記載した「バカロレア」です。
これは、大学(又は高等教育機関)へ進むためには必須の資格で、この試験をパスしないためには、進学できません(フランスには大学受験はありません。)。高校2年の時に選択した分野が、各自の受験科目になり、その分野によって自分の行きたい大学の学部が決定します。つまり、文系を選択した場合、理系の学部に入ることはできないのです。そのため、高校2年での進路選択は最も大事なことであり、将来の就職に大きく左右するものなのです。「理系S」を取得すれば、将来、ほとんどの職種に就くことができると言われることから、Sを選択する生徒は多いそうです。ただし、一番難しいのも、このSだと言われています。
バカロレア
バカロレアは、高校3年の末に行われ(フランス語の試験のみ高校2年)、全科目の総合点が20点中10点に達しないといけません。ただ、8点~10点の生徒については、口答の追加試験を受けることができ、ここで得点を上げれば、無事にバカロレア取得となりますが、失敗してしまうと、8点未満の生徒同様に、残念ながら留年することになります。また、バカロレアを習得しないまま高校を去る生徒も少なからずおり、このような生徒は今後の就職には大変不利になります。
上記に述べたバカロレアは、一般バカロレアと呼ばれる大学進学資格ですが、このほかにも、技術資格を意味する技術系バカロレア、職業資格とされる職業別バカロレアというものがあります。これらのバカロレアを取得していれば、進学することができます。
バカロレア取得率は、90%弱です。
塾
フランスにも学習塾のようなものがあり、主に家庭教師の派遣です。教員資格を持った者から大学生など、教師の質はそれぞれです。大学受験はなくとも、バカロレア取得のため、個別授業を受けさせる家庭もあります。