アルザス地方の郷土料理、徹底解析!
シュークルート(Choucroute)
キャベツを千切りにした漬物と一緒に、数種類のソーセージ、数種類の部位の豚肉、特に腿肉をキャベツにのせて蒸し焼きにしたもの。現在では、アルザス地方の他、ドイツ・ポーランドなど北欧・東欧諸国、ロシア、アメリカ合衆国、中国などでもよく食べられています。
起源:ドイツ語では、「酸っぱいキャベツ(ザワークラウトSauerkraut)」。1世紀に古代ローマで食べられていた記録がありますが、現代のものは中国で活用されていた保存食が16~18世紀にかけてヨーロッパに広く定着したものです。ビタミンCを含む保存食として、長い航海の壊血病予防食に利用された他、現代でもドイツの軍隊食としても重宝されています。
レシピ:キャベツの漬物は市販のものを買って、数種のソーセージ・豚肉を2時間以上かけて、とろ火でじっくりと煮込みます。
材料(6人前用):キャベツの漬物1.2kg、豚の骨付き背肉2枚、燻製ばら肉400g、すね肉1枚、ソーセージ12本、オリーブオイル大さじ2杯、玉ねぎ1個、ローリエ2枚、タイム、クローブ2本、ネズの実、こしょう、クミン、アルザス辛口白ワイン330ml、コンソメ1つを300mlの湯に溶かしたもの、にんにく1片
- シュークルートを水で洗い、水気をきります。
- 大きな深鍋で、玉ねぎを炒め、ばら肉100gを加えます。
- 材料をすべて鍋に入れ火にかけます
- よく混ぜながら、2時間とろ火にかけて、できあがり。
ベッコフ(Baeckeoffe)
スフレンハイム(Soufflenheim)の陶器で、牛、豚、子羊の3種の肉と野菜を白ワインでじっくり煮込んで食べる、アルザス地方の郷土料理です。
起源:ベッコフ(baeckeoffe/baeckeofe)とは、「パン屋の釜(four du boulanger)」を意味します。ストラスブールの都会で広まった料理で、日曜日、教会に行く前に鍋をパン屋に預け、朝パンを焼いて余熱の残っている釜に入れてもらい、帰りに持ち帰って食べる特別な料理でした。ベッコフに使われる3つの肉は、宗教的な意味あいを持ちます。牛肉はカトリック教を、豚肉はプロテスタント教を、子羊肉はユダヤ教を表しているといわれています。
レシピ:ベッコフは牛肉、豚肉、子羊肉を前日から漬け込み、2時間以上かけてじっくりとオーブンで焼き上げます。
材料(6人前用):牛肉500g、子羊肉500g、豚肉500g、じゃがいも1kg、たまねぎ大1個、バター
(下準備用)辛口のアルザス白ワイン1リットル(エデルツヴィッカー、シルヴァネール、リースリングなど)、たまねぎ2個、にんにく2片、長ねぎ3本、クローブ1本、セロリ1枝、塩、こしょう、ブーケガルニ(タイム、ローリエ、パセリ)
- (前日下準備)大きな器に、ワインをあけ、下準備用の材料全てと同サイズに切った肉を漬け込む
- (当日)オーブンを180度で余熱にかけます。じゃがいもとたまねぎを、輪切りにします。
- 溶かしバターをスフレンハイムの陶器に塗り、じゃがいもを一層敷いた後、肉、玉ねぎを敷き、塩を少々ふりかけます。同作業を繰り返し、最後はじゃがいもで終えるようにします。
- 肉を漬けておいた汁をざるに通し、汁が3を覆うようにします。足りない場合は、水を足します。
- 180度のオーブンで2時間半煮込んで、できあがり。
タルトフランベ(Tarte flambée/Flammekueche)
薄い長方形のパン生地に、サワークリーム、細切れベーコン、玉ねぎをのせて、釜で強火で焼いたもの。
起源:ベッコフとは異なり、タルト・フランベは田舎で広まりました。2~3週間に1回、釜の火の中で素早く焼き、家庭で手で食べました。ストラスブールに広まったのはつい最近のことで、ピザ屋が流行した1960年頃といわれています。